はじめに
異常気象が声高に叫ばれて久しい昨今ですが、日本でも雹害と呼べるレベルの落雹が観測されるようになりました。エクステリア屋目線で思うことを少し発信させて頂きたいと思います。
雹害とは
日本ではだいたい春先の「大気の状態が不安定」な季節の変わり目に、著しい温度変化と大気中の寒暖差により短時間で異様に発達した積乱雲が雹を降らせやすいとされます。大気中の水分が上空の寒気によって氷結し、積乱雲の中で大きく成長した氷の粒が雹となって雨と共に降り注ぐ現象です。雹といっても金平糖くらいならまだ可愛いのかもしれませんが、ゴルフボール大の氷の粒が数キロメートル上空から落下してくるとなると、地表に到達する頃には相当スピードがついていると考えられます。結果、建造物その他に被害をもたらし「雹害」となります。被害として多く目にしたのは「家のカーポート屋根が穴だらけになった」というものです。屋根材に無残に穴があき、酷いケースでは殆ど骨組みしか残っていないカーポートやアーケードも見受けられました。
カーポートがそんな状態ですから、屋外の車も無傷では済みません。ボディの凹み、リアウィンドウやフロントガラスのヒビ、または割れて窓が無くなった等の被害も散見されました。
気になる「ウチのカーポート」
そんなニュースを見て「うちのカーポートは大丈夫?」って心配になられた方も多いのではないでしょうか。「だって、テレビで、動画で見た、穴だらけになってるカーポートって、ウチのと似てるし…」「建ててからそんなに経ってないけど、カーポートってあんなボロボロになるの!?カーポートの意味!?」
…そうですよね。ご心配ごもっともです。ですが、ココガーデンエクステリアのホームページの中でも非常にニッチなこのページ…「コラム」と謳ってはおりますが、一般にランディングページと呼ばれる、やたらに情報量が多めで読むのもしんどいとされている…まさにこのページ!を、敢えて読んでくださっている読者様におかれましては、既にお察しの方もおられるかもしれません。割と端的に申し上げますと、「似ている=同じ」ではありません。なので、心配してヤキモキする前に、確認するといいポイントをお知らせしたいと思います。以前の記事も併せてご参照下さいますとより一層お分かりいただけるかと存じます。こちら→【コラム】→【カーポートの選び方】→【カーポートの種類~素材】
確認するポイント
では、何から確認すれば良いのでしょうか。過去記事からしますと、先ずは屋根材の素材が何であるか、です。アクリルは経年劣化に弱くポリカーボネートは強度があるとのことでした。経年劣化によってどう変化するかを簡単に申しますと、アクリルは「割れる」、ポリカは「曲がる」という特徴があります。ココガーデンエクステリアでも「屋根材交換」の工事をご依頼頂くことがありますが、既存品がアクリル屋根である場合、割れていることが殆どです。逆にポリカ材は衝撃に強いため、想定外の風圧や衝撃を受けると、割れるのではなく屋根材が骨組みから外れるケースがあります。ポリカーボネートはその特性故に、機動隊の盾に採用されている素材でもあります。勿論、厚みや仕様は異なるとは思いますが、ポリカという素材の特性を生かしているようです。
しかし、パッと見てご自宅のカーポートの屋根材がアクリルなのかポリカなのかなんて…見分けがつかない、というユーザー様もおいでの事でしょう。カーポートの屋根材には波板と平板がありますが、いずれにもアクリル素材とポリカ素材が存在します。ひとつの目安として設置した時期をご確認ください。いつ頃流通した商品かによって凡そ大別されます。過去20年くらいは殆どのメーカーが規格としてポリカーボネート屋根を採用しております。それ以前にはアクリル材とポリカ材が共存していた時期もございます。単純に20年の経年劣化で見るならば、割れ、ヒビ、直射日光に晒される部分の劣化、変色、変形等が見られるのであればアクリルの可能性が高いと思われます。もし、お手元に購入時の見積書や取説があれば確認してみてください。あまり目立ちませんがよく探すと、カーポート本体にメーカー名や商品名、型番などの記載ラベルが貼られている場合があります。その情報をネットで検索するのもいいかもしれません。「それも無い、わからない、とにかく古い、この際カーポートを建て替えたい!」とのご希望がございましたら専門店まで御見積をご依頼ください。
時代のニーズに合わせたアップデート
ご留意頂きたい点として、「ポリカーボネートなら大丈夫」という訳ではございません。どんな商材でもそうですが、絶対大丈夫とは言い切れないのが現実です。どんなに耐風圧・耐積雪設計をしていても、自然災害の及ぼす影響は想定を上回ることが多々あるからです。お天気予報で「観測史上最大」とか「観測史上初」というワードを毎年聞いているような気がします。想定外が当たり前になりつつあるように思います。雹害もまさにそれと言えるかもしれません。エクステリア商材も設計時には、おそらく当時最先端のスペックであったことでしょう。それ自体が不良品であったわけでもないでしょう。当時は、それで良かったのです。ただ、当時と今とでは状況が違ってきています。何事にもアップデートが必要になります。エクステリア業界においても各メーカー様は切磋琢磨して商品開発に取り組まれています。
海外では
国内ではまだ稀な雹害ですが、海外では大人の手のひらサイズの雹が降ることもあるようです。雹害を伴う積乱雲や竜巻にはそれなりの前触れがあるようで、荒天に備えて車に緩衝材を被せたり、文字通りお布団被せたり、屋内に避難させたりするようです。それでも雲のスピードに間に合わず、または想定外の重量の氷の塊に負けて、ルーフやボンネットがボコボコになったお車の為には、デントリペアという技術が利用されています。彼方では板金よりも手頃なのだそうです。もうここまでくると、何を犠牲にするかの選択になってきそうです…。つまり、お金をかけて車を修理するか、車を守るためにお金をかけて屋根にダメージを受けてもらうか。国内に比べ、インナーガレージが普及している理由が分かるような気がします。
エクステリアが持つ可能性
「もし雹害に遭ったら?」と考えてみました。屋根なしの青空駐車であれば車体へのダメージは不可避です。さすがに窓も割れて車体もボコボコの状態の車を乗り回す訳にも行きませんし、かといって修理工場はその地域一帯の依頼が殺到するでしょうから順番待ちでしょうし。やはり予め備えるとすれば…折板カーポートか、またはガレージという選択肢になるでしょうか…。折板カーポートもガレージも屋根材は金属製です。雹が降ってきたら…まあ、すんごい音でしょうね、爆音でしょうね!それに、車体と同じく屋根材が凹む可能性はゼロとは言えません。(じゃあ、折板カーポートをルーフバルコニー化しちゃって、折板屋根の上にデッキ材が乗っていれば音は軽減されるかもしれない?ほな、例えば三協のグランフローア的な?でもデッキ材かて無傷では済まんですよね?!…といった具合に思考回路がループします。)
実際に遭遇してみなければ分かりませんが、金平糖くらいの雹なら気持ち的にも耐えられる気がしますが、手のひら大は想像しただけで恐怖を感じます…。屋根が凹むのがいいか、車が損傷するのがいいか。なんかもう究極の選択みたいになってきました。これも時代なのでしょうか。
ただでさえ災害大国。備えあれば憂いなしと教わって育った土地です。災害対策としてのエクステリアをお考えになるのも一手かもしれません。
おわりに
国内ではまだ珍しい雹害の情報が飛び交う中、取り急ぎエクステリア屋目線のつぶやきを投稿させて頂きました。ココガーデンエクステリア商圏内ではあまりご相談のない事象ではありますが、同じようなことがいつ何時起こらないとも限りません。予め、「こんなことも起こるんやな」「エクステリアで備えられる事があるんやな」と知って頂くだけでも対処法や選択肢の幅は拡がるのではないかと考えます。皆様の生活に、暮らしに、エクステリアが少しでもプラスになることを願います。ニッチでマニアックなコラムを最後までご覧いただきありがとうございました。