デッキの選び方

デッキの選び方

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はじめに

デッキが無かった頃は「お庭にデッキって要る??」と思っていた方でも、いざデッキを使ってみるともうデッキなし生活には戻れなくなるようです。デッキの良さを知ってしまったのです。何がそんなに良いのでしょうか。デッキを作ることで何がそんなに変わるのでしょうか。このページではお庭にデッキを作りたいと思っている方を応援したい気持ちでデッキの魅力を発信していきたいと思います。

デッキはお庭活用の第一段階

前提として、日本における住宅建築では基礎高が決められています。日本特有の四季の移ろいは素晴らしいものです。しかし住居は四季折々のあらゆる気候条件に耐え得るものでなければなりません。特に湿度の高さは、住宅に深刻なダメージを与えます。湿気を溜めない基本的な構造条件として、木造住宅の基礎高は30cm以上にしましょうねと建築基準法で定められています。フローリング面(FL)からですと大凡40cm程度、地面との差が出来ます。40cmってなかなかの高さです。大人の脚で難なく登れる階段の高さは1段辺り20cm以下と言われております。しかしエクステリア・外構工事で蹴上がり20cmを施工することは滅多にありません。だいたい15cmから17cm程度です。となると、40cmとは階段2~3段欲しい高さということになります。この段差がお庭に出にくい要因の一つです。ならば、段差を解消すればお庭に出やすい、即ちお庭活用の第一歩は段差解消からということになります。この段差解消方法のひとつがデッキなのです。

デッキにすると良い事

菰野町H様邸 デッキ施工 テラス施工 目隠し施工バリアフリー化が叫ばれて久しく経ちます。そもそもは、高齢者や体力に限界を感じる方でも居室を使いやすく、過ごしやすくしようという思いから始まったように記憶します。ですが、身体的弱者が使いやすいということは皆が使いやすいということなのでは。そんな視点で今回のデッキを考えてみますと、先ず、リビングからお庭に出る時の段差レスはお庭にデッキを作る最大のメリットです。お部屋履きのままでも、スリッパ履き替えるにしても、40cmの落差がないということは無理をしなくていいということです。重力に逆らって、片足で、履き物探してフラフラして、サッシに捕まって、あぁ危ない。なんていう思いをしません。足元がフラットって素晴らしい。フラットと言ってもサッシのレールくらいはあるでしょうから、気をつけましょう。人間、段差が3㎝もあれば簡単につまずくそうです。筆者の場合はフローリングに敷いたカーペットの縁にすらつまずいて、度々カーペットをめくりあげます。足元に注意していなければ思いの外、足は上がっていないようです。

さて、お庭に出やすくなったら、次にお庭で何が出来るかです。「あなたはお庭で何をしたいですか?」例えば、毎日の日課のお洗濯やお布団干し。大きな荷物を抱えてお庭に出るのは意外に重労働です。デッキがあるだけで、家事を少しラクに出来るでしょう。仮に、デッキにテラス屋根や竿掛けやデッキフェンスがあれば、家事をもう少しラクに出来ます。控えめに申し上げておりますが、あると無いとではエライ違いです。

デッキはお洗濯を干すだけでなく、「アウトドアリビング」としての活用方法もあるでしょう。「庭」でもなく「居間」でもなく、その中間の、昔の日本家屋で言うなれば「縁側」のような位置付けでしょうか。「縁側」という日本の文化。素晴らしいと思います。座敷に上がり込むまでもない御用かもしれませんが、せっかくおいでになったのです、少し休憩しませんか?と言わんばかりの開放感。バリ歓迎モード。「子供の頃は玄関なんて使わなかった、家族もお客さんもいつも縁側から出入りしていたよ」という昭和の祖父ちゃん祖母ちゃんもおられるでしょう。古き良き時代でございました。そんな縁側のスピリッツを現代にも。アウトドアリビングという発想は、ひとつにはそんなところに端を発しているのかもしれません。
もちろん、プライベートガーデンとしてのお庭をお望みの方も多いことでしょう。エクステリアに関しては活用方法次第でどの様にも作り上げていけるものです。結局のところ、「デッキを作ってそこであなたは何をしたいですか?」の問いに帰結します。ユーザー様のイメージが大切なのです。

デッキの種類

さて、ここまで「デッキ」と総称しておりますが、いくつか種類があります。エクステリアで施工される中でも屈指の人気を誇るのは「ウッドデッキ」でしょう。これには木製と木樹脂タイプがございます。この二つの材質についてはよく知られている事ですが、簡単にご説明いたします。先ず「木製ウッドデッキ」。こちらはウッドデッキの元祖、始祖。Wood=木。そのまんま天然木材を使用して組み上げるデッキです。天然木材ですから年月と共に、腐食、苔、割れ、といった経年劣化が見られます。多くの場合、出来るだけ劣化を遅らせる為に防腐塗料を用いております。定期的に塗料を塗ることや、腐食部分を交換するなどの、メンテナンスが必要です。手間はかかりますが、やはり天然木の良いところは、合成品には真似のできない質感です。保水性があるゆえに腐食しやすいのですが、逆に言えば保水性があるゆえにしっとりとした木の優しさ、柔らかさを感じます。経年劣化と言ってしまえばそれまでなのですが、それも言い換えれば天然素材の「味わい」として愉しむことが出来ます。ウッドデッキをご希望のお客様の中にはどうしても天然木がいい!というユーザー様もおられます。最近では従来品に比べて耐久性のある鉄木と呼ばれる類の堅い材木もありますので比較検討をお勧めします。天然木デッキ次に「木樹脂デッキ」です。メンテナンスフリーを推してきた商品です。それだけ天然木のウッドデッキはお手入れが大変ということですね。木樹脂デッキは木粉を利用した合成材で出来ており、見た目はウッドに見えるけれど、腐食しないよ、塗装しなくていいよ、という肩の荷が下りる気持ちの商品です。ですが、合成材であるゆえに、天然木のような保水性がなく、代わりに蓄熱するという特徴があります。夏場は特に強い日差しを受けて表面温度が高くなりますので、メーカーカタログにも履物をご使用頂くようにとのお願い事項があります。嘗ては、木樹脂デッキ自体が蓄熱し過ぎて自ら変形するという事象も起きました。今では対応策があるのですが、当時は施工職人から営業担当まで現場で一堂に会して「マジか!」となった記憶があります。施工してから思わぬ事態が起きるのは新商品のあるあるです。そして、木樹脂デッキといっても、何もかもがメンテナンスフリーなわけではありません。雨ざらしであれば雨のたびに汚れが付着します。車と同じです。洗車をするのと同じように洗ってあげるとか、表面が荒れるようならヤスリがけをするとか、その程度の面倒は見てあげないとどんどん汚れていきます。不思議と天然木のような「味わい」は出ません。ただただ汚れていきます。汚れたら、洗ってください。
人工木デッキ

さて、最後にご紹介するデッキが実は一番メンテナンスフリーなのではないかと思ってしまう「タイルデッキ」です。何と言っても見た目がオシャレ。映え。施工方法としては、ブロックで下地を作って表装タイルで仕上げるというやり方です。手間と時間と技術が求められるので、決して安くありません。しかし、映え。そして、タイルは経年劣化に強いと言われます。確かにエクステリアで施工されるデッキの中では長寿な方でしょう。裸足で歩くとひんやりです。冬場は超絶冷たいです。やはり履物をお勧めします。気軽にジャバジャバ水洗いできますが、水に濡れたタイルは非常に滑りやすいので注意が必要です。ノンスリップ加工されたタイルもありますが、そこはお値段とも相談してみてください。
タイルデッキ

「使いやすい」が一番

で、結局のところどれにしたらいいんだろう?と思われるでしょうか。迷いますよね。デッキはカタログを眺めるよりも施工事例集をご覧頂く事をお勧めしたいです。メーカーも挙って自社製品の施工写真を集めていますし、ネット上にはいくらでも映えなデッキが見つかる事でしょう。その中で、ご自身のイメージに近いものを探してみてください。ただ、実際に施工したら毎日見る場所、毎日使う場所になるので、やはり使いやすさが一番かと思います。お庭を有効活用できること、現状よりも便利であること、そして使いやすいこと。使いやすさを追求する先には、テラス屋根やガーデンルームといった選択肢もございます。【テラス・ガーデンルーム】については別ページでご紹介していますが、お庭リフォームを検討される場合、屋根と床はセットでお考え頂くといいかもしれません。デッキだけでいいのか、それとも屋根も欲しいのか、はたまた囲われたガーデンルームが必要か。お庭で、デッキで、何をしたいかに合わせてプランニングしていきましょう。

おわりに

お打ち合わせの時、意外と多くのユーザー様に驚かれるのが「デッキって、そんな自由な形に出来るんですか?」とのご質問です。恐らく、展示場や展示会で見かける多くのデッキサンプルは規格サイズの長方形でしょう。なんで長方形なんでしょうか。デッキに限らずエクステリア製品の多くは尺貫法もしくはメーターモジュールに基づいて間口と奥行を選択する形でサイズ展開をしております。規格があるから、量産が容易。規格があるから定価がつけられる。定価があるから販売価格の提示が容易で、規格品だから施工し易く、工期を短く出来る、結果的にコストを抑えられる。という具合に様々な理由が関連してございます。ですが、デッキは特注対応が出来ない訳ではございません。メーカー規格にないサイズとか、加工が必要とされる形状も、現場の状況次第では施工できることもあります。施工出来るかどうかの判断は工事店にお任せ頂きたいところですが、ユーザー様ご自身に思い描いておられるイメージがあれば、是非お聞かせください。